ピロリ菌と除菌について
このコラムでは、当クリニックにて消化器内科を専門に担当する山本敬先生が、ピロリ菌や除菌に関する疑問に答えます。先生は当クリニックに勤務する以前は虎の門病院 健康管理センター部長として年間多くの患者や人間ドック受診者に対して内視鏡検査をしてきました。
専門医としての知識と経験に基づいて、胃の病気に大きく影響しているピロリ菌について、胃がんとの関連性について説明します。そして、ピロリ菌除菌療法の重要性について解説します。
Q1: ピロリ菌とは何ですか?
山本敬先生: 「ピロリ菌は胃の粘膜に生息する螺旋形の細菌で、胃酸の中で生存する能力を持っています。この菌は、胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に大きく関与しており、1983年のピロリ菌の発見で2005年にノーベル賞が授与されました。」
Q2: ピロリ菌の感染経路について教えてください。
山本敬先生: 「感染経路は完全には解明されていませんが、口を介した経口感染が主なものと考えられています。特に水の衛生状態が悪い地域では感染率が高いとされています。」
Q3: ピロリ菌と胃がんの関係について教えてください。
山本敬先生: 「ピロリ菌の感染は胃がんのリスクを高めます。感染していない人と比べて、感染している人の胃がん発生率は明らかに高いです。ただし、除菌することで、胃がんの発生リスクを減らすことが可能です。」
Q4: ピロリ菌の検査方法にはどのようなものがありますか?
山本敬先生: 「当クリニックでは、尿素呼気試験と血液抗体検査を主に実施しています。尿素呼気試験は非常に精度が高く、抗体検査は血液から行います。また内視鏡検査で胃の状態を見ることでピロリ菌の有無を視覚的にとらえることができます。」
Q5: ピロリ菌の除菌療法について教えてください。
山本敬先生: 「除菌療法は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎と診断された患者に対して行われます。1次除菌が失敗しても2次除菌までは保険で対応可能です。2次除菌に失敗した場合の3次除菌になると自費治療となります。」
Q6: 除菌療法中に注意すべき点は何ですか?
山本敬先生: 「もし1次除菌でピロリ菌を退治できず、2次除菌療法を行う場合はアルコールは避けてください。
使用する薬剤の影響で重い二日酔いのような症状を引き起こします。」
山本敬先生によるピロリ菌除菌に関するコラムをお読みいただき、ありがとうございました。
除菌療法は胃炎や胃がんのリスクを減らす効果的な方法ですので、胃の不調を感じたら専門医の診察を受けることが大切です。また、胃の検査をしようか考えている方は、バリウムを飲む検査ではピロリ菌がいる状態の胃を視覚的にとらえることはできませんので、内視鏡で検査することをおすすめしています。