コラム

テストステロン補充療法について

この記事では、泌尿器科専門医の丸山邦隆先生がテストステロン補充療法について解説します。
今回は53歳の男性が抱えるやる気の欠如や趣味のゴルフへの情熱の低下など、加齢に伴うテストステロンの低下が引き起こす可能性のある様々な症状に光を当てます。

53歳男性: 最近、仕事のやる気が出ず、趣味のゴルフも楽しく感じません。年齢的にも歳のせいでしょうか?
丸山邦隆先生: そのような症状には色々な要因が関係していることがあります。例えば、心身の疲れ、仕事の人間関係、プライベートな悩みなどあります。年齢から考えると加齢による男性ホルモンの低下が要因の一つであることも考えられます。まずは、あなたの体内のテストステロン量を血液検査で調べて、テストステロンの値が低ければ治療によりやる気スイッチの改善が見込めます。また、生活習慣の見直しも効果的です。

53歳男性: 男性ホルモン(テストステロン)が低下すると、具体的にどんな症状が出ますか?
丸山邦隆先生: 男性ホルモンと呼ばれているテストステロンは20代をピークに加齢と共に低下していき、身体面や精神面に様々な症状が現れます。やる気の欠如、性欲の低下、疲労感、集中力の低下、うつ症状、筋力低下、体のだるさ、怒りっぽい、イライラ、記憶力の低下、不眠、発汗など多岐にわたる症状が現れます。これらの症状を総称して男性更年期障害と呼ばれています

53歳男性: 治療の注意点や副作用はありますか?
丸山邦隆先生: 注意点としては、以下に挙げる方に対してのテストステロン補充療法は行っておりません。
1)前立腺がん、前立腺肥大症、重度の腎機能障害などの疾患がある方
2)前立腺がんの腫瘍マーカーPSA検査の結果が高い方は医師に相談してください。
3)未来に子供を望む方、アスリート、女性の方は注射できません。

副作用に関しては、肝機能障害や多血症、脂質代謝異常などの副作用があり得ます。これ以外にも人によってさまざまな副作用が出る場合がありますので、医師と二人三脚で治療していきます。

53歳男性: テストステロン補充療法の治療の流れと料金の目安を教えてください。
丸山邦隆先生:最初に患者の症状を詳しく聞き、リスク説明後に血液検査を行います。
検査結果をみて問題がなければ治療を開始し、2~4週間ごとに注射を行います。
男性更年期障害であれば保険適用が可能です。自費治療も選択できます。

初診
テストステロン補充療法に必要な診察と血液検査をします。(保険3割負担約3,000円前後)

再診1回目
初診から1週間後、検査結果の説明とテストステロン注射(保険3割負担約1,000円前後)

再診2回目
テストステロン治療の経過の診察と血液検査をします。(保険3割負担約2,000円前後)

再診3回目
再診2回目から1週間後、検査結果の説明とテストステロン注射(保険3割負担約1,000円前後)

再診4回目以降~

丸山邦隆先生によるテストステロン補充療法に関する詳細な説明をお読みいただき、ありがとうございました。加齢に伴うホルモンの変化は多くの男性に影響を及ぼしますが、適切な治療と管理により、質の高い日常生活を送ることが可能です。もしテストステロンの低下に関連する症状にお悩みの方は、専門医と相談し、自分に合った治療法を見つけることが重要です。健康な毎日を取り戻すための第一歩を踏み出しましょう。